About Us

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【はじめに】

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2015年、大内宿出身である母と埼玉育ちの息子によって、茶房やまだ屋はその産声をあげました。
村を訪れる人々が散策の合間に憩いのひと時を過ごせるよう、民宿からカフェへと改装された店内は、 長年に渡って守られてきた伝統を色濃く残しながら、 しかし現代のライフスタイルに合うようにモダナイズさせています。

そして提供するメニューや取り扱うブランドもまた、 伝統に軸足を置きながら現在を意識した品々をセレクトしています。

現在=今を意識することはつまり、生活を意識すること。
意識される生活は、現在の大内宿の人々の生活でもあり、また大内宿以外のすべての人々の生活でもあります。

歴史が強く意識される土地だからこそ忘れがちな、「現在」という時間軸との融和。
その一つの答え、一つの可能性として、私たちは茶房やまだ屋をスタートさせました。

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【伝統と挑戦の共存】

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カフェとして提供するメニューの方針は「可能な限り地産地消」。 会津の食材を中心に使用し、賄いきれないものは外部の材料を使っています。 無理をして全てを地域のみで完成させるのではなく、出来るものと出来ないものを分ける。 継続と持続の為の方針です。
そして何より大事にしているのが「口籠らなければならないようなものは、絶対に使用しない」
当たり前のことですが、何より大事なことでもあります。そして忘れがちなことでもあります。

嘘偽りのない品ぞろえ。

それは取り扱うブランドのセレクトにも共通しています。
会津、福島の伝統工芸、民藝にルーツをもちながら挑戦を恐れない作り手たち。
悪戯にルーツを逸脱するのではなく、歴史にしっかりと軸足を置きながら、 先人への敬意をもってチャレンジを続ける人々。

そんな作り手たちの心臓の鼓動が聞こえてくるような品々を、是非、当店でご覧になってみてください。

3

【目的地から出発点へ】

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東北有数の観光地である大内宿には、年間を通して数十万の人々が訪れます。
古き良き日本の伝統を求めて、あるいは山奥ののどかな光景を眺めに。 目的は人の数だけあるでしょう。
しかし目的であるがゆえに、見落としてしまうものも多くあると私たちは考えます。
大内宿の在る下郷町。下郷町を孕む会津地域。 そしてそれらすべてを内包する福島県という広大な土地。
数多存在する歴史や伝統のすべてを大内宿で説明し賄うことは、当たり前ですが不可能です。

それならば、と再び私たちは考えました。

大内宿をきっかけに、広く会津や福島に興味を持ってもらうにはどうしたらいいのか?
一度の旅行で完結するのではなく、 二度三度と目的を変えながら来訪してもらうにはどうすればいいのか?

「キッカケとしての店づくり」
それが私たちの思いついた一つの答えでした。

村の中だけではなく広く会津や福島の人と連帯すること。
商品の開発や企画の構成をともに行い、その上で私たちは地の利を活かし、 彼らに作品や商品を披露する場を提供すること。
そしてそれらを販売して利益を挙げ、継続的な挑戦と循環へと繋げること。

気になる作家やブランドを、記憶の片隅に留めてもらえるような時間を過ごしてもらいたい。
大内宿を終点に目指してくる人々に、次は大内宿を起点とした旅や体験を提供したい。

それらは、茶房やまだ屋の考える、これからの大内宿の在り方です。

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【移住者の目で伝統を見つめ直す】

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この文章を書いている私自身は埼玉育ちであり、 大内宿という土地にルーツはあってもアイデンティティはありません。
埼玉で生まれ千葉で学び、東京で働く。 そんな首都圏近郊の典型的な人生を30歳まで過ごしてきた私にとって、 大内宿のような歴史的な地域での暮らしと働きは、大なり小なりの衝突や葛藤を孕むものでした。

伝統と効率。
保守と革新。
都会と田舎。

どちらにも正解はなく、またどちらも間違っているわけでもありません。

私が模索し、示したいのは大内宿の新たな可能性です。
安易な否定でもなく無責任な肯定でもない。
大内宿が守ってきた歴史に、移住者としての新たな視点を持ち込むこと。
大内宿に在って、大内宿らしくない。しかし、それでいて確かに大内宿、会津を感じさせる。
言葉遊びのようで、矛盾した信念かもしれません。
ですが私たちは本気でそんな店づくりを目指しているのです。